ユメオチ

 いつまでたってもキスさせてくれない。今もそうだ。
  何かこー……仕事場だからだいたい2人しかいねー所にだよ、横並びでソファに座ってさぁ、でろ甘い雰囲気で2人でくっついてんのに、僕がキスしようとすると逃げる。他の場所にキスするとスゲー嬉しそうな顔すんのに、口だけは嫌みたいだ。
 理由はだいたい「亜豆の前にするべきじゃない」って言うんだけど、どう言う操立てだよ。……いや、僕のことを思って言ってるんだろうけど。それでもこう言う雰囲気になった時にはうざったい理由だ。僕はさっさとちゅーしたい。同じ男ならそう言うところはわかってほしいもんだけど。
 こんなことをツラツラ考えてる間にも、実は何度も挑戦している。そのたびに拒まれるわけだけど……。どういう難易度だよ。なんなんだよ。
「ちょ……ダメだってサイコー」
「おまえうぜーよ。俺がしてーの」
「ロマンチストとは思えねー言葉だな!」
「女子にはロマンチストだよ」
「とにかくぜってーダメ!」
  押し退けられた。赤くなってちょっと涙目なのは可愛いと思うけど、いいかげんイライラしてくるなー……。
「キスしなきゃいいのかよ」
「う、うん……」
「じゃあしない」
  そういった途端、シュージンの顔がほっとしたように明るくなった。僕は喜んで良いのか悲しんで良いのか……複雑すぎる……複雑すぎる心境だ。シュージンの態度が全部僕のためだと知っているだけに。くそぅ……仕方ない。僕はシュージンの首元に顔を埋めた。
「キス以外、他に何がダメなのか言えよな」
  そう耳元で呟くと、一気に体重をかけてシュージンの身体をソファに沈めた。首元に顔を埋めたままなのでシュージンの表情は見えないが、気配から焦っていることがわかった。
 そのままシュージンの首をべろんと舐め上げると、シュージンが引きつった声をあげた。面白かったので、皮膚を吸ってキスマークを付けてやった。ちゅっと音がした。
「な、なにすん……」
「どうせ髪で隠れてみえねーって」
「そう言う問題じゃねー!」
「嫌なら言って」
  その言葉で、シュージンはぐっと黙った。シュージンには「嫌なら言って」は効く言葉だな。一気に大人しくなる。よし、これからも使おう。制服のシャツ越しにシュージンの肌を撫でながら、首、耳、頬、と唇を移動していった。薄い身体を揉むように撫でると、時々シュージンの身体がびくっと揺れる。顔も少し赤い。
 眼鏡、したままだ。そのままでもいいけど、取ってみようか。黒縁をひょいと外すと、目元の赤さがよく見える。シュージンは、うっすら涙ぐんでいた。
「何涙ぐんでんの」
「サイコーがそれ言うのかよっ」
「嫌なら言えって言ったじゃん」
「……や、じゃない……」
「そっ」
  シュージンは、言いたいことも言えない内気なタイプとは違う。僕とは普段から言いたいことを言い合っているし。だから嫌じゃないのは本音なんだろう。ちょっと嬉しくなってしまった。僕はシャツを思いっきり引き出すと、あらわになったシュージンの腹を直接撫でた。
「ちょっ……!」
  さらっとしてる。きもちいい。僕はシュージンの目元に溜まった涙を舌で舐め上げた。何だか美味しそうに見えたけど、舐めてみたらやっぱりしょっぱかった。当然か。しっかし腰細いなー。あ、へそかわいい。
 僕はシュージンの腰周りを両手でしつこくしつこく撫で上げた。その度にびくびくとシュージンの身体が反応する。さすがにくすぐったいか。
  はめられたままのシュージンのシャツのボタンを、下からぷちぷちと外していった。全部外して左右に大きく開く。上半身があらわになった。シュージンの息を飲む音が聞こえた。と言っても僕とたいして変わりのない身体だ。珍しくもなんともない。それでも引き寄せられるのは、シュージンの身体だからだろう。胸元に手を寄せる。当然だけど平べったい。
「む、胸なんかねーぞ……」
「見りゃわかるよ」
  胸に手を滑らせると、緊張からかシュージンの身体が固まる。でも心臓は動きすぎてるようだ。心臓の近くを撫でると、指先がシュージンの乳首を掠めた。また引きつった声が聞こえたので、右側の乳首を軽く摘んでみた。
「サ、サイコー……!」
  男でも気持ちよくなんのかなぁ。そうも思えないけど……。僕がぼんやり考えながらこねこねこねこねしていたら、乳首が赤くなってきた。やべ、弄りすぎたか。でも赤くなってるのが何だか美味しそうに見えて、衝動的に舐めてしまった。
「っひ! や、ちょ、うそだろぉ……」
  シュージンが泣きそうな声を上げたので、どんな顔してんのか知りたくて顔を上げた。するとシュージンは手の甲を口に当てて、困ったような怯えたような、でも顔は赤くて目は潤んでるし、有り体に言うとエロい顔をしていた。
「シュージン、エロい顔してんぞ」
「だっ、誰のせいだよぉ」
「やっべ、俺ドキドキしてきた」
  ドキドキはしてたけど、正直言うと下半身的にちょっと効いていた。僕はそれを誤魔化すかのように、今度は左の乳首に唇を寄せた。今度はちゅう、と吸ってみる。
「っ! ……!」
  シュージンの身体がびくんと跳ねた。さっき赤くなった右の乳首を指でこねながら、押しつぶしたりしてみる。吸うとその度にシュージンの身体が跳ねるので、それが面白くて左はひたすら吸った。ちゅ、ちゅ、と言う音が妙に響いて聞こえる。何かだんだんかわいくなってきた。乳首が。
 可愛がった成果か、両方ともすっかりピンと勃ち上がってしまった。色もさっきよりもっと赤いし、口に含んでいたせいで濡れてツヤツヤしている。うわーすげー男でもこうなるんだー。でもかわいいなー美味しそう……。
 満足な気持ちで僕が顔を上げると、シュージンは必死に両手で口を押さえていた。すごい顔真っ赤……。目も潤んでるって言うより、もう泣きそうだし。やりすぎた? 僕は焦った。
「シュージン? ごめん、嫌だった? 嫌だったら……」
  シュージンは無言で左右に首を振った。嫌じゃない、みたい。口を押さえてる手を剥がすと、はぁっ……と熱いため息がシュージンから吐き出された。うわやべ、だいぶきた。今の効いた……僕の心音が高まる。
「あ……あの……さ……」
「う、うん」
「まだ、つ、続けんの……?」
  そう言ったシュージンは恥ずかしそうに目を伏せた。おっま……ねーよ! 女子かよ! かわいーんだよ!
そんなことも言えずに、ただ僕は固まった。自分の身体の下でもぞもぞ動くものがあったので見てみると、シュージンの膝がもじもじしている。見間違いじゃなければ、シュージンのファスナー部分の生地が軽く押し上げられている。これは……
「つ、続けていい?」
「…………う、」
「嫌ならやめる」
「……や、……やじゃ、ない……」
 同意は得た!!
 い、いけるか? できるか? やっちゃうか?
 多分今までで一番男気を試されている。ここまで来て行かなきゃ男じゃない。いけ! いっちまえ!僕は自分で自分を激励すると、ごくりと唾を飲み込んでシュージンのベルトに手をか

 

 

 

 ――起きた。新しい朝が来た。希望の朝だ。喜ーびに胸をひーらけー おおぞーらあーおーげー……
 夢かよ!! なんっ、何なんだよ! しかも夢のくせにやけに生々しーよ! つーか夢ならもっとこうさぁ、もっと先まで出来てもいーんじゃね!? あーもー中途半端だなー……。朝勃ちはしていたけど、いつものことだしこれはいい。夢精しなかっただけまだマシか……あぁ……朝からすげー疲れた……
 とりあえずシュージンに会っても変な態度取らないように、今日はできるだけシュージンの顔を見ないようにしよう……そうしよう……



←戻る